monomadoのブログ

本を買う話とか、読んだ本の話とか。あと時々、旅行の話を。

死をポケットに入れて チャールズ・ブコウスキー

死をポケットに入れて (河出文庫)


ブコウスキーの小説が河出文庫でいくつか出ている。河出文庫の本が好きで、たぶん澁澤龍彦の本を書い集めているうちに、河出文庫ででているものならなんでもおもしろかろうと見るようになった。
とりわけ、河出文庫が出している海外作家の作品についてが、そのセレクトするのが、どれもこれも僕好みなのだ。
バタイユは言わずもがなで、数年前にバロウズ、ジャリ、カルヴィーノとか。いずれも気になる装丁で。近年時にありがたいと思うのはドゥルーズを文庫化していってくれているところ。

こうした作家を選び、並べられると、まったく知らないけれど、タイトルがかっこよくてついつい買ってきてしまうのである。そしてタイトルがかっこいい作家としてのブコウスキーなのである。

くそったれ!少年時代 (河出文庫)

河出文庫では「くそったれ少年時代」とタイトルだけでなにか清々しいものが込み上げてくる。そうだ!子供になんか死んでも戻りたくない。老いさらばえながら、大人になって、ホントよかった。子供時代なんか自分にとってはどうでもいいことなんだ!と勝手にタイトルだけで妄想することができる。

そして、『死をポケットに入れて』である。

ほとんどの人たちは死に対する用意ができていない。自分たち自身の死だろうが、誰か他人の死だろうが。死に誰もがショックを受け、恐怖を覚える。まるで不意打ちだ。何だって、そんなこと絶対にありえないよ。わたしは死を左のポケットに入れて持ち歩いている、そいつを取り出して、話しかけてみる。「やあ、ベイビー、どうしている? いつわたしのもとにやってきてくれるのかな? ちゃんと心構えしておくからね」

年老いた男の日記。競馬、ラジオ、そしてマッキントッシュでこの日記を書いているというこのロックな感じ。
かっこいいじゃないか!
死と近しい場所で、この世にむかって、くそったれといい、そして、俺はまだまだこのマッキントッシュで、書いて書いて書きまくるんだと。
いくらかでも引用したくなるいいなぁというフレーズがあるが、読み終えたらもう一度、まとめよう。

河出文庫の棚から見つけた作家なので、きちんと来歴を知らないと思ってWikipediaを見た。
リンクを貼っておきます。
http://wikipedia.gwbg.ws/hgea

ブコウスキーの墓には「DON'T TRY(「やめておけ」)」と刻まれている、とな。
かっこいい。