monomadoのブログ

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ショートカットの女たち パトリス ルコント 春風社

ショートカットの女たち

パトリス・ルコントの最初の小説。お話は、トマという男がショートカットの女の子を花嫁として見つけること。
ルコントの作品の中では、妙なこだわりをもった主人公がでてくる話が多いと思う。しかも、そのこだわりかたがあまりにも一途で、その賭け方が半端ないのも共通している点であると思う。『髪結いの亭主』では主人公は、たしか髪結いと結婚することを決意していたし、『歓楽通り』でも、確か娼館で娼婦の息子だった男が、娼館に来た女を人目みた瞬間に、すべてを捧げようと決める。
そして、どの主人公も勝負どころでは絶対にはずさない度胸があるところが、見ていてこそばゆい感じで面白い。やってくれるね!と声援を送りたくなる感じで。

まず、この愚直なまでに、目的にこだわる。『髪結いの亭主』ではここぞというチャンスをものにしていたように記憶するが、本作では、実際、ベストなショートカットの女の子を追い求めている点において、主人公がある程度どこにでもいるような普通の人に近い気がして、親しんで読める。でも、母親や、世話焼きな女の人に好かれたりするところをみると、かなりかわいらしい見た目と性格をもっていると推測されるし、受け答えもいつも気がきいていて、どこにでもいそうで、なかなかいない「いいやつ」なのだということがわかる。

なぜ、この本をとったのか。それはルコントの小説だからではなく、ショートカットの女の子と結婚したい!という意見に共感したから。確かにその通りだ。これは好みの問題ではなく、絶対そうなんだと思える。

こういう愚直なこだわりが美しいし、いいことだと教えてくれる、とてもいい本。