リファクタリング・ウェットウェア 達人プログラマーの思考法と学習法
リファクタリング・ウェットウェア ―達人プログラマーの思考法と学習法
- 作者: Andy Hunt,武舎広幸,武舎るみ
- 出版社/メーカー: オライリージャパン
- 発売日: 2009/04/27
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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副題のとおり、達人プログラマーの思考法と学習法について書かれた本。プログラマーというわけではないが、こういった思考法、学習法の本は好きな方で、できるだけいろいろ読んで、実際に試してみることにしている(方法に溺れない程度に)
かなり実践的な方法が紹介されており、具体例については、本そのものを見ればいいと思うので、印象に残った考え方、テクニックを簡単に書いておく。
・達人の世界
本書では、脳の働き(右脳と左脳とか)にも言及しつつ、論じられているが、
達人の世界は、直感、すなわち右脳の世界によって動いていると書かれている。
確かに達人たちは、プロジェクトの中に存在する。
彼らは、マシンと対話できるのではないかと思うくらいのすばやさでズバッと
核心に向かっていくところを目の当たりにすることがある。
(『技術屋の心眼』で読んだ、非言語的な知識をもっているということと
似通ったところがあるのかもしれない)
達人への道は、ここでは日々の努力とプラクティスを続けることとして書かれている。
その直感は、やはり経験と学習の積み重ねから得られるものであり、直感そのものを
手に入れるためのレシピは存在しないと書かれている。
なんか、禅とか、スターウォーズのマスターとかのノリに近いところで、 少しミーハーなところがあるのではないかとも思う。
あまり、こういった非言語的な領野を、特権的な場所に位置づけるのは危険で、あまり語りすぎることや、神格化してとらえることはよくないとも思うが
・現場におけるドレイファスモデル
ドレイファスモデルは ドレイファス兄弟が技術者の進歩を分類したモデルで、
・初心者
・中級者
・上級者
・熟練者
・達人
の分類に大きくわけれれている。その各々のステップにある特徴が書かれているがプロジェクトの現場において、そのグループは上記のモデル分類に対してどういった比重によって形成されているかということが書かれている。
上のレベルの人が少ないのは、同然であるが、だいたい中級者によってほとんどがグループが占められているということが書かれている。この認識はとても重要だと思う。理想は上級以上の人間だけのエキスパート集団に所属することだろうが、現実はそうはいかないものである。ゆえに、理想的なプロジェクト、計画がきちんとたてられ、技術的な課題には達人が魔法を使って解決し、順調な進行をもってして、プロジェクトは進むといったことが、まずありえない、ということを知ることにつながるからだ。
(この話はもしかしたら『デスマーチ』のほうが詳しいかもしれないが)
このモデルは、少し自分自身の立場、職場にあてはめて考えてみるといいかもしれない。
■この本から読みたいと思う本
・『達人プログラマー』 同著者
・『暗黙知の次元』 マイケル・ポランニー
暗黙知の話とライプニッツの微小表象(petites perceptions)
読み返したいという意味で『ライプニッツ術ーーモナドは世界を編集する』工作舎