monomadoのブログ

本を買う話とか、読んだ本の話とか。あと時々、旅行の話を。

何でも見てやろう 小田実

何でも見てやろう (講談社文庫 お 3-5)

『旅する力 深夜特急ノート』に、小田実の『何でも見てやろう』が引き合いにだされて、沢木が自身の旅と比較して書いており、気になっていたら会社事務所の近くでやっていた古本祭りで見つけたので買った。

沢木の本の中では、正確な引用ではないが

・沢木自身が「何でも見てやろう」を中学生(?)くらいに父の本棚にあるのを見つけて読んだこと
 (旅のきっかけの一部になっていると書いてあった気がする)
・旅の行程が小田実のアメリカ→ヨーロッパ→アジアの流れとは逆の行程でいったことの違いについて
 論じられていたこと。

が書いてあった。

2つ目にあげた点については、その比較を考えるのも面白そうだが今はしない。

「何でも見てやろう」は小田実がタイトルそのままに体当たり的な旅行をしてきた話が痛快に書かれている本で、これはこれで『深夜特急』を読んだ時のようなおもしろさがあった。しかし、この何でも見てやろうの体当たり的なところが、簡単にはまねできない小田自身の特殊能力の為せる技と見えて、自分にはこうはできないだろう、うらやましい話だといった印象をうける。その点、沢木のほうは、自分も似たことができるのではないかと思えるリアリティがあるので、旅に出たくなる力は沢木の本のほうが強いと思う。

とはいえ、沢木でもかなり人との旅での出会いの話がけっこうたくさんでてくる。
もはや、どちらの本に書かれていたか覚えていないが

ヨーロッパは一般に自分からアクションを起こさないと何も起こらない
アジア(特にインドとか)は外から勝手にアクションが起こってきて何かが起こるとこ

と記されていたのが、印象深い指摘に思う。

私の場合、特に自分からアクションを起こさないタイプの場合、確かにヨーロッパにいってもただただ観光をするだけのような旅行になってしまう傾向にあると思い、反省する。

小田実はその点でいえば、アクションを起こす力、行動力が並でないので、とても痛快な見聞録になっていておもしろい。
久しぶりに没頭して読めた本。

こんどの旅行は「なんでも見てやろう」で果敢に挑戦したくなる。

※amazonのイメージは講談社文庫のもの。僕は古本屋で角川文庫版を買ったが、そちらの表紙のほうが古臭いコラージュで作られた表紙で楽しい。