monomadoのブログ

本を買う話とか、読んだ本の話とか。あと時々、旅行の話を。

旅する力 深夜特急ノート

旅する力―深夜特急ノート

沢木耕太郎の『深夜特急』は高校生くらいの時に読んだ。
きっとこの本を読んだ人は、いつかは自分もこんな旅をしてみたいと思ったに違いない。

仕事帰りに本屋にいったら新刊本のコーナーにあったので思わず手に取り買ってしまった。
内容としては、『深夜特急』の背景にあった話が記されたエッセイ集ともいうべきもの。

実は数ヶ月前に読んでいて内容をあまり覚えていないが、付箋をはっているところがあった。

1つめは「私には三種の神器のようなものがあった」というエッセイ。

おそらく旅にあると便利、もしくは充実するテクニックのようなものがあるのではないかと期待して、今後自分もまねしてみたいと思っての付箋と思われる。

沢木の三種の神器は

・エアログラム(航空書簡)
 ⇒ここに旅の記録がおのずから残されたという話。
・金銭の出納長
 ⇒お金をやりくりする旅行としては必要なものだが、後からみると旅の記録となるとのこと。
  確かに一人で旅行していると、その旅先の地との接触点は「買い物」「食事」があるので、
  その記録を残すことは後々のことを考えてもいいかもしれない。

となっている。いずれも後々に『深夜特急』を執筆していく上で役に立ったという話。
(3つめは、読み返してみて気づいたがないようだ。)

2つめは引用すると

「やはり旅にはその旅にふさわしい年齢があるのだという気がする。たとえば、私にとって『深夜特急』の旅は、二十代のなかばという年齢が必要だった。もし同じコースをいまの私が旅すれば、たとえ他のすべてがお同じ条件であったとしてもまったく違う旅になるだろう」(『旅する力』 p241)

に付箋をつけている。自分は二十代後半となってきており、そしていまは仕事をしているので、『深夜特急』のような長期にわたる旅には出れなくなってしまっている。その気分の中で、もう二十代の、貧乏旅行の、あの旅の楽しさが味わえないようになってしまっていることに愕然とした気分になっているのだと思う。

そんな気分になったからなのか、3月のはじめにもらった7連休で「青春18きっぷ」など買って一人旅にでかけたのは、やはりこの本を買ったからなのかもしれない。
いずれにせよ、この本は『深夜特急』という現役の本に対しては、老年の本という感じではある。

『深夜特急』を読んだ時の気分を思い出し、あの時思い描いたままではないにせよ、いまだからできる旅にでかけたくなる本だと思う。